2016.01.09 レポート2■介護保険制度の役割とは?
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レポート2■介護施設の介護保険の役割とは?

昨年の秋、私どものオフィスで携わり竣工した某社会福祉法人の介護施設がある。

その組織は施設利用対象者に対し自立支援を行われている。
要介護度4や5の人達に対し、施設内では車椅子から降ろし、オムツや胃瘻を外し、毎日屋外へ連れ出し、自力でトイレや食事が出来るようになるまで手間暇を掛け組織総力を挙げて取り組んでおられる。

頭が下がる大変な介護労力、その見返りは介護度が下がった利用者へのご褒美として介護保険料金の大幅な減額となって帰ってくる。
この組織は、経営的にはとても不味いやり方なのに長い間その理念を持続され続けておられるのには驚きだ。

そのようなマゾヒリズム的経営を支えているのは、そこで働いておられるスタッフや、そこでお世話になられた利用者本人そして、そのご家族や親類等からの絶大なる支持と信頼に依るものだった。

そこで働かれているスタッフはご自分の家族や親戚を必ずと言っていいほどにその施設へ預けられる。関係者は他所の施設の事もご存知なので、スタッフを含めほぼ全員が家族ぐるみでお世話になられているのだ。

私が今迄に携わってきた施設が目指していたのは、高級リゾートホテルそのものだったような気がする。
施設の居室にはテレビも冷蔵庫もトイレもシャワー室まで完備していて、大きめのリクライニングベットと側には照明やテレビのリモコンが置かれたベットサイドテーブルが有る。

そこではトイレに立つ以外は眺めの良い部屋のベットの上で一日中過ごせる。リゾートホテルのように、とても快適で便利で極楽のような空間だ。
しかしながらその居室前の廊下の先にある扉には鍵が掛かっていて、自由に外に出れないようオートロックが施されている。それは痴呆対策である。

殆どの施設や病院では不眠対策の為、睡眠薬を沢山処方される。
医学的な事は判らないが、睡眠薬は高齢者にとって脳の働きを鈍らせる働きがあると聞いた事がある。睡眠薬を毎日飲み続け、一日中ベットの上でテレビを見ていたら、痴呆の症状が現れる人が出てくるかも知れない。それは自己責任に依るのかも知れないが、事故に結び付くとそれは施設側の責任となる。

施設の何処の場所に行ってもフルフラットでバリアフリー、彼方此方に手摺が設置され、明るくサインも大きめで判りやすい。
ある所では温泉まで掘り、各階に大浴場まで完備した。屋外には足湯を設置。車椅子のまま入れる様に造ったことで、実際に車椅子の高齢者の方が毎日のように足湯に浸かっておられ、これは良かったと思った。

この様な施設こそが、現在考えられる最高で理想の介護施設だと思い疑わなかった。
私も最後はこんな施設にお世話になりたい。心からそう思っていた。

しかし良く考えてみると、何処に行っても階段の無いフルフラットの1ミリも段差の無い平坦なフロアー。膝を上げる必要が無い所で毎日生活していると膝を曲げる機能はあっという間に退化してしまう。
毎日居心地の良い部屋のベットから動かずにいたら直ぐに歩けなくなってしまう。
何も考える必要もなく毎日テレビばかり見る生活、それに毎晩睡眠薬で眠っていたら、脳の機能も使っている現在でさえ危ういのに、あっという間に脳は腐ってしまいそうだ。

そんな事を教えてくれたのが一昨年、出会う事のできた某社福の女性理事長さんだった。

次回へと続く。

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